2007 Fiscal Year Annual Research Report
初期近代ブリテンにおける「統合」と「帝国」の政治思想史
Project/Area Number |
19730110
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 俊道 Kyushu University, 大学院・法学研究院, 准教授 (80305408)
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Keywords | 統合 / 帝国 / 人文主義 / プリテン / マキァヴェッリ / 文明 / 植民 / ベイコン |
Research Abstract |
本年度は、初期近代ブリテンにおける「統合」と「帝国」をめぐる政治思想史のうち、ルネサンス期から1603年のイングランド・スコットランド統合問題に至る議論の系譜を調査した。具体的には、同時代における初期のアメリカ論や、トマス・スミスやエドマンド・スペンサーをはじめとする文明論や植民地論、あるいは探検記や旅行記に関する一次資料を収集し、その分析を開始した。また、とくに1604年を中心に展開された統合問題については、イングランド側におけるフランシス・ベイコンやジェイムズ1世(6世)、ローマ法学者らによる統合推進論、議会でのコモン・ローヤーを中心とする反対論、トマス・クレイグらによるスコットランド側での対等合併論などを考察の対象とし、その議論の型や全体の構図を抽出した。 また、これらの議論のなかで、とくに、マキァヴェッリに代表される人文主義的な拡大国家論と、統合問題を契機とした「ブリテン」論もしくは「帝国」論に着目した。その成果の一部は、岡崎晴輝・木村俊道編『はじめて学ぶ政治学一古典・名著への誘い』(「統治-マキァヴェッリ『君主論』」)の記述に反映されている。 以上のような問題設定を基礎として、5月に開催された第14回政治思想学会では、「主権国家と帝国」と題する全体セッションのコメンテーターを務め、マキァヴェッリの拡大共和国論、グロティウスの主権論、清朝の多民族統合政策にそれぞれ考察を加え、同時にまた、「帝国」論研究の現状に関する展望を行った。 また、7月には海外渡航を行い、ケンブリッジ大学で開催された、同時代の人文主義に関する研究大会(Late Humanism and Political Ideology in Northern Europe,1580-1620)に参加し、海外の研究者との交流を図るとともに、ケンブリッジ大学図書館や大英図書館にて資料収集を行った。
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Research Products
(2 results)