2008 Fiscal Year Annual Research Report
韓国憲法の持続と変化:新制度論における制度的均衡と均衡制度の観点から
Project/Area Number |
19730111
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
浅羽 祐樹 Yamaguchi Prefectural University, 国際文化学部, 講師 (70403912)
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Keywords | 憲法 / 韓国政治 / 新制度論 / 制度的均衡 / 均衡制度 |
Research Abstract |
本研究は、韓国憲政史における歴代憲法の持続と変化のダイナミズムについて、新制度論における制度的均衡と均衡制度の観点から実証的に解明しようとするものである。平成19年度には、新制度論における制度的均衡と均衡制度の最新の理論的成果の吸収に努め、韓国という事例への適用可能性を検討したことを踏まえ、平成20年度は、新制度論のレビューを継続して行いながらも、重点を実証に移していった。 理論面では、憲法の持続と変化のダイナミズムにとって重要なのは、敗者(少数派)の同意と勝者(多数派)の自制、そしてそれらを担保する民主主義の源泉でありアンカーとしての市民というエージェンシーの存在を可能にするように憲法がデザインされているかどうか、という点であるということが明らかになった。1948年憲法や1962年憲法は持続せず、それぞれ新憲法で以つて代替された反面、1987年憲法は22年後の今日(2009年)においても依然として現行憲法のままであるというヴァリェーションが見られるのも、こうした観点から合理的に説明することが十分に可能である。 実証面では、特に現行の1987年憲法への憲法改正をめぐる国会内外の政治過程を中心に検討した。国会内のものは、大韓民国国会内のサイト「憲法知識データベース」や議事録を活用しながら、事実の再構成を試みた。また、国会外のものについては、資料収集を引き続き行った。 成果としては、韓国の憲法の根幹である大統領制や大統領選挙などについて、国内外の学会で積極的に発表を行い、学会誌に公表した。
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