2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730112
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
秋吉 貴雄 Kumamoto University, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (50332862)
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Keywords | 知識の政治 / 政策知識 / 政策オプション / 規制改革 |
Research Abstract |
本年度は、「知識の政治」に関する理論研究と事例の予備調査を行った。 まず本研究では、[知識の政治」という分析枠組みを構築していく上で、知識志向研究の系譜について整理した。70年代から政策研究が進展していく中で、評価研究を契機に知識活用(knowledge utilization)が注目されることになった。そして、この知識活用への関心は、政策形成における知識の影響への関心にっながり、多様な政策学習の概念や政策分析者の役割が提示されたことが指摘される。 次に、本研究では、「知識の政治」という分析枠組みを検討した。政治学で注目されたアイディアの概念について検討し、(1)多義性と静態性、(2)政策形成との不明確な因果メカニズム、という2つの問題を指摘した。そして、「政策知識」の概念について検討し、理論的知識と経験的知識という2つの側面を提示した。さらに政策形成への因果メカニズムについても検討し、知識の獲得と正当化、認識枠組みの形成という2つの段階を提示した。 これらの理論研究の成果の一部は、『熊本大学社会文化研究』に「政策過程と政策知識:「知識の政治」の分析枠組みの構築に向けて」として掲載された。そして、この研究成果によって、これまで多様な研究領域で分断状態にあった知識志向研究に関して理論動向を整理し、「知識の政治」を構築するための見取り図が提示されることとなった。また事例の予備調査に関しては、上述の理論研究をもとに、個別事例研究及び比較研究の分析フレームワークを検討し、対象事例に関する資料収集等を予備的に行った。その結果、これまであまり指摘されてこなかった政策知識の変化と政策形成への影響が確認された。 また事例の予備調査に関しては、上述の理論研究をもとに、個別事例研究及び比較研究の分析フレームワークを検討し、対象事例に関する資料収集等を予備的に行った。その結果、これまであまり指摘されてこなかった政策知識の変化と政策形成への影響が確認された。
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