Research Abstract |
本年度は,当初の研究計画における初年度に想定した以下の3つの分野について,研究・分析に取り組んだ. 第一に,本研究の研究・分析対象である「条例による事務処理特例」制度に関して,その創設に関する審議過程の分析を行った。具体的には,同制度を創設した地方分権推進委員会において提出された関連資料及び議事要録等をもとに,同制度の形成時の審議過程を追跡した。当該研究・分析を通じて,「条例による事務処理特例」制度の運営時に行われる「協議」導入の背景や目的等を把握することができた.第二に,各都道府県における「条例による事務処理特例」制度上の協議に関する特性を明らかにするために,全都道府県における移譲事務に関する各資料(各都道府県の事務処理特例に関する条例及び各都道府県作成による事務移譲計画又はリスト等)の収集と整理に努めた.当該研究・分析を通じて,全国的な都道府県から市町村への事務権限移譲の動向の把握を行うことができた.第三に,都道府県と市町村間の「協議」の特性を明らかにするために,各都道府県において「条例による事務処理特例」制度を所管する部署の担当者に対して現地聴き取り調査を行った.具体的には,本年度は,鳥取県,富山県,静岡県,栃木県,埼玉県,佐賀県,愛知県,岐阜県,三重県,福島県,山形県の11県への現地聴き取り調査を行った.当該研究・分析を通じて,制度上は想定されていない「同意」に基づき「協議」が進められている実態を把握することができた. 以上3つの分野の研究・分析を通じて,本研究の目的である,地方政府間での協議の一般的な形態の把握の端緒になり,次年度以降の研究・分析を進める上での方針となるであろうことを確認できた。
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