2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国共産党による「党軍」建設と基層社会(1924年~1934年)
Project/Area Number |
19730115
|
Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
阿南 友亮 Tokyo Seitoku University, 東京成徳大学・人文学部, 講師 (50365003)
|
Keywords | 政治学 / 政治史 / 近代中国政治 / 中国軍事 / 中国共産党 / 国民国家 / 革命 / 動員 |
Research Abstract |
平成21年度の研究活動は、広東省档案館が所蔵している共産党の内部文書(革命歴史梢案)の分析およびその分析結果をまとめた論文の執筆に主眼を置いた。 広東省档案館の情報公開の度合いが非常に進んでいることもあって、同档案館での史料調査は平成19年度以来続けてきた。平成21年度も8月に2週間史料調査を実施し、これにより、ようやく閲覧を希望していた史料全てに目を通すという平成19年度以来の目標を達成することができた。 広東省档案館が所蔵している共産党の内部文書は、これまで中国内外を問わず、1920年代、30年代(中華民国期)における共産党の軍隊建設および党・軍・社会の相関関係を分析する際にほとんど活用されてこなかった。今回、そうした内部文書を詳細に分析した結果、中華民国期の広東における共産党の軍隊建設の実態が、従来の定説とは大きく異なる様相をみせていたことが判明した。 従来の定説では、共産党が実施した土地革命(土地の没収・分配)の恩恵を被った農民が共産党の軍隊の主要な兵士の供給源と考えられてきた。しかし、当時の内部文書を分析した結果、広東における土地革命の試みが実際には惨憺たる失敗に終わり、共産党軍が主として金銭や血縁関係に基づいて兵士を集めていたことが判明したのである。これは、土地革命こそが共産党の軍事力拡大と国民党に対する勝利の主要因となったというこれまでの定説を根本から見直す必要性を示唆するという意味で、重要な発見であるといえる。 以上のような主旨の議論は、2010年6月に慶應義塾大学の『法学研究』83巻6号に掲載されることが決まった論文(「広東東部における『紅軍』の実態、一九二八年~一九三〇年」)において、より詳細に展開した。
|
Research Products
(1 results)