2007 Fiscal Year Annual Research Report
米・西独関係と核兵器の拡散問題-アイゼンハワー・ケネディ・ジョンソンの比較研究
Project/Area Number |
19730127
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
倉科 一希 Akita International University, 国際教養学部, 助教 (00404856)
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Keywords | 外交史 / 冷戦 / 米欧関係 / アメリカ・西ドイツ / 核兵器拡散 / ケネディ |
Research Abstract |
2007年度の研究は,米国における史料調査を中心に,ケネディ政権が核兵器拡散問題,とくに西独による核武装の可能性にどのように対処したのかを解明することに努めた。8月の史料調査では,ワシントンの国立公文書館にてソ連との外交交渉に関する史料を中心に収集した。さらにカンザス州アビリーンのアイゼンハワー大統領図書館では,多角的核戦力(MLF)提案をめぐる政策決定過程を検討した。2月から3月にかけてボストンのケネディ大統領図書館とワシントンの国立公文書館で行なった調査では,ケネディ政権内部の政策決定,とくにアイゼンハワー政権から継承したMLFをめぐる政権内の議論に焦点を当てた。 これらの現地調査および刊行されている一次史料の検討から,国務省政策企画室を中心として,核兵器拡散の予防とMLFに対する支持が強かったこと,この方針はアイゼンハワー政権からの継続性が認められることが明らかになった。西独が核武装すれば西欧の同盟網が崩壊しかねないとの危惧から,歴代米国政権がこれを妨げようとしたという本研究の仮説に合致する事実である。 その一方,核兵器拡散問題やMLFに関するケネディ政権の対応が必ずしも一貫していないことが明らかとなった。ケネディ政権の政策決定過程の特徴を反映し,短期的な危機管理が積み重ねられた結果と考えられる。短期的視野から決定された政策の背後に,東西関係,西独,核拡散に対するどのような認識が潜んでいたのかを解明することが,今後の課題となる。
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