2007 Fiscal Year Annual Research Report
世界銀行の査閲(インスペクション)パネルと市民社会におけるアカウンタビリティー
Project/Area Number |
19730134
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
段 家誠 Hannan University, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (20340846)
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Keywords | 世界銀行 / インスペクション・パネル / NGO / レソト / レソト高原水プロジェクト / ダム / 市民社会 / アカウンタビリティー |
Research Abstract |
本研究では、世界銀行(以下、世銀)のアカウンタビリティーについて、インスペクション・パネルの具体的な事例調査を通じて行うことを主要な目的とした。そして世銀とインスペクション・パネルにNGOがどのような影響力を与えているかを通じて、市民社会との関係を明らかにしようとした。具体的には、(1)インスペクション・パネルの世銀組織への効果・影響を文献調査とヒアリング等によって明らかにする。(2)必要に応じて、開発途上国におけるパネル事例を実地調査することを目的としている。 そのために昨年4月から7月、各種データベースや書誌情報をもとに文献調査を行いその収集を進めた。8月には国立国会図書館や世銀東京事務所、大学図書館等にて、現地調査を行うための基本資料と情報収集に努めた。その結果、アフリカ諸国の中で基本文献が2-3点と極端に少なく、情報が少ないものの世銀パネルにかかったプロジェクトが行われたレソト王国が調査候補に挙がった。現地調査を必要と感じた筆者は同国大使館を通じて情報を収集した。 そして2007年9月、南部アフリカのレソト王国において世銀援助によって建設されたモヘレダムとカツェダムの現地調査を行った。当地は2000m級の山岳地帯からなる国家で、このプロジェクトは南アフリカのヨハネスブルグ他へ水を供給する「レソト高原水プロジェクト」と呼ばれるものである。同プロジェクトは、世銀のインスペクション・パネルに1998年5月申し立てが行われ、適格性報告書が作成されたプロジェクトである。現地ではプロジェクト・サイトで移住が行われたことから、首都で移住対象住民らが反対デモを行った経緯がある。調査を通じて、同国の置かれた現状とともに、プロジェクトの規模と同国経済・社会・環境への影響を知ることができた。
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