2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730142
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀井 亮 Tohoku University, 大学院・経済研究科, 准教授 (90324855)
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Keywords | 経済成長 / 内生的成長理論 / ナイフエッジ性 / 技術変化 / 限界効用の弾力性 / 費用関数 |
Research Abstract |
アメリガ経済の経済成長率は過去130年間非常に安定的であり、ほかの先進国も同様の傾向を示している。これは集計的実質GDPの指数関数的増大を意味するが、それを説明する既存の内生的経済成長理論はナイフエッジ的な仮定に依拠しており、ミクロレベルでのデータと必ずしも整合的でない。そこで本研究では経済成長の定義に立ち戻り「定常成長経路は指数関数的増加を意味する」という概念を再検討している。本年度は理論的基礎調査により、(1)経済が異なる多数の部門で形成されており、技術変化等により新しい部門が発展に従って継続的に発生する、(2)部門の産出する財に対する消費者の限界効用の弾力性が一定ではなく消費量に対して一定以上の程度で逓増する、かつ(3)各部門の財生産の限界費用が累積生産量に対して一定以上の程度で逓減する、という3つの条件があれば、新技術による部門数の線形な増加によって定常的な経済成長が可能になることが明らかになった。これら3条件はナイフエッジ的ではないが、従来の仮定に比べ過剰に制約的でないかどうか、新技術が導入される具体的な経済状況を考えた上で3条件の妥当性を検討する必要がある。この検討は主に次年度の課題となるが、本年度は関連する予備研究として、論文Wealth Heterogeneity and Escape from the Poverty-Environment TrapおよびFinancial infrastructure, technological shift, and inequality in economic developmentにおいて信用制約の変化が新技術導入を可能にした場合のマクロ経営状況の変化を分析した。
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