2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730142
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀井 亮 Tohoku University, 大学院・経済研究科, 准教授 (90324855)
|
Keywords | 経済成長 / 内生的成長理論 / ナイフエッジ性 / 技術変化 / 限界効用の弾力性 / 費用関数 |
Research Abstract |
本年度までの研究によって、(1) 経済が異なる多数の部門で形成されており、技術変化等により新しい部門が発展に従って継続的に発生する、(2) 部門の産出する財に対する消費者の限界効用の弾力性が一定ではなく消費量に対して一定以上の程度で逓増する、かつ(3) 各部門の財価格が一定以上の速度で逓減する、という3つの条件が必要を満たす内生的成長マクロモデルのフレームワークを構築した。これらのうち条件(1)、(3)を実現するためには、経済全体、および各部門において知識・経験の蓄積が必要になってくる。本年度の研究によって、知識・経験の蓄積と、費用の低減(および新部門創設)との間の関係の特性が一定の条件を満たすかどうかによって、線形的発展が持続的経済成長を可能であるかどうかが決定されることが明らかになった。この特性(条件)が現実経済で満たされるかどうかさらなる検討が必要であり、来年の課題の一つである。また、この基幹モデル構築・分析と並行して、関連研究として知識蓄積(人的資本蓄積・ラーニングプロセス含む)が経済発展にどのような効果を及ぼすかについての研究を行い、3編の論文の発表および、国際学会での報告を行った。これらの研究によって、人的資本蓄積にかかる制約(例 : 大学の限られた入学定員)が必ずしも成長に悪影響を与えないこと、主体の教育選択には将来への期待が重要であり摩擦的市場においては周囲の主体の行動が将来期待に大きく影響を与えること、新しい情報に対するラーニングプロセスは経済全体のパフォーマンスに対して非対称的な変動を起こし得ることなどが明らかになった。
|