2007 Fiscal Year Annual Research Report
経済実験に基づいた多市場接触下の行動理論の構築に関する研究
Project/Area Number |
19730146
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
小川 一仁 Osaka Sangyo University, 経済学部, 講師 (50405487)
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Keywords | 多市場接触 / 経済実験 / 行動分析 / しっぺ返し戦略 / トリガ戦略 |
Research Abstract |
今年度の実績は以下のようである。 1)研究課題採択以前から実施していた多市場接触実験の研究報告 実験データの分析を行い、論文にまとめ、2つの学会で報告した(研究代表者または共著者)。論文自体は京都大学経済学部ワーキングペーパーなった。この論文では、交付申請書の研究目的に沿った形で、多市場接触が長期的に継続するとき、プレイヤの行動はどの要素に影響を受けるか、プレイヤが相互協力を実現するにはどのような戦略が有効かを分析した。分析の結果、プレイヤはステージゲームで実質的に選択可能な行動の数とゲームの利得構造に影響を受けること、相互協力を達成するための実践的な戦略としては多市場接触に見合う形で修正されたトリガ型の戦略よりも、同様の修正を施されたしっぺ返し型の戦略のほうが有効であることが分かった。 2)広島市立大学情報処理センタでの経済実験の実施とデータ整理 2007年12月に広島市立大学で多市場接触に関する経済実験を実施した。被験者募集などは高橋准教授に依頼し、実験を実施した。この実験はBernheimらが提出した多市場接触理論(無限回繰り返しゲーム理論に依拠している)を厳密に検証するためのもので、本研究の柱の1つである。実験自体は、1)と異なり、割引因子を客観的に統制したものだった。前年度来収集したデータに加えて、今回の実験で分析に必要なデータの収集がおおむね終了した。 予定より早くデータ収集が終了したので、暫定的な分析に取りかかった。1)の蓄積から、プレイヤはステージゲームで実質的に選択可能な行動の数と利得構造に影響を受けることが予想され、加えて今回は割引因子の高低にも影響を受けると予想された。暫定的な分析では、これらの予想の多くが実現していることが分かった。現在論文を執筆中である。
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