2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730147
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
蓬田 守弘 Sophia University, 経済学部, 准教授 (30286611)
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Keywords | 経済理論 / 競争政策 / 国際貿易 / 直接投資 / 企業の買収・合併 |
Research Abstract |
本年度は、外国企業による国内企業の買収の是非について理論的に検討した。外国企業による買収を制限すべきか否かは、開放経済での競争政策上の問題であり本研究の課題でもある。 昨年度に構築した部分均衡モデルを拡張して、外国企業による自国国内企業の買収を分析した。外国企業が国内市場に参入する手段として、(1)輸出、(2)現地生産、(3)国内企業の買収の3つの選択肢を想定した。 はじめに、どの参入方法が最も高い利潤を外国企業にもたらすかを検討した。外国企業にとっては、追加的費用なしに技術移転できるという想定のもとでは、国内企業の買収が最も望ましい参入方法であることがわかった。 次に、外国企業による国内企業の買収が自国の社会的経済余剰にどのような影響を及ぼすかを分析した。分析の結果、外国企業の買収が自国の社会的余剰を増加させない場合があることを示した。その場合に、政策当局による買収制限が、外国企業の参入形態を変化させることで、自国の社会的余剰を増加させるか否かを検討した。そのような買収制限政策によって、外国企業が現地生産を行った場合には、社会的余剰は増加するが、外国企業が輸出を選択した場合には、社会的余剰は減少してしまうことが明らかになった。 分析結果から次のような政策含意が導かれる。外国企業の買収が社会経済厚生の観点から望ましくない場合があるが、買収を制限する政策が正当化されるのは、外国企業が参入の代替手段として現地生産を選択する場合である。
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Research Products
(1 results)