2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730150
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
岡田 敏裕 Kwansei Gakuin University, 経済学部, 准教授 (50411773)
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Keywords | Technology diffusion / Medium term business cycles / Japanese economy |
Research Abstract |
本研究の目的は日本経済の中期的景気循環の理論的・実証的分析を行い、1990年代初頭以降の日本経済低迷の原因を明らかにすることにある。本年度は主に以下の二点について集中的に分析をおこなった。 第一に、技術伝播を外生的に扱った単純な技術伝播モデルを作成し(技術伝播はアメリカから日本ヘラグを伴って起こる)、アメリカと日本のデータをもとにカリブレーション・シミュレーション分析を行った。さらなる改良の余地はあるが、ある程度は実際のマクロデータの動きを説明することができた。この結果は、アメリカからの技術伝播が日本経済の中期的動向に大きな影響を与えた可能性を示唆している。現段階までの分析では、各マクロ変数の動きの方向や相関関係に関してモデルは概ね良い結果を示しているが、変数の振幅幅の点に関しては改良を要することが分かった。したがって、更なる理論モデルの改良を現在行っている。 第二に、技術伝播の重要性を示すために、日本だけではなく他国(韓国、カナダ、英国など)のデータを使用し、(アメリカからの)技術伝播が他国の経済の中期的景気変動に重要な影響を与えていることを実証的に示した。これによって、技術伝播が中期的景気変動に与える影響の普遍的な重要性が示された。 これらの研究成果を2008年3月に英国のロンドン大学(ロイヤルホロウェイ校)のセミナーで報告し、セミナー参加者と活発な議論を行い、多くの貴重なコメントを得た。特に議論の中心となったのは、「幾つかの産業ではヨーロッパが技術先進国である可能性があるので、ヨーロッパからの技術伝播の可能性も考慮すべきでは」という点であった。この点に関しては今後実証的に確認する予定である。
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Research Products
(1 results)