2007 Fiscal Year Annual Research Report
国際的視点からのピグー研究-貿易論・対外関係論・知的交流-
Project/Area Number |
19730152
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
本郷 亮 Hirosaki Gakuin University, 社会福祉学部, 講師 (80382589)
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Keywords | ピグー / 厚生経済学 / 国際貿易 / 戦間期 / イギリス / ケンブリッジ学派 / 金本位制度 / 大衆社会 |
Research Abstract |
平成19年度は、本研究(国際的視点からのピグー研究)の第1年目にあたる年度であった。それゆえ、研究の基礎を固め、方向性を定めることに努めた。すなわち、初期ピグーの貿易理論・政策論の詳細な検討を行い、それらの社会背景として、当時のイギリスで進んでいた「大衆社会化」の問題が浮かび上がった。ピグーは、フランスの社会心理学者ル・ボンの『群集心理』(1895)から引用するなどして、この問題を指摘している。大衆社会においては、必ずしも(国民全体の長期的利益を最大化するという意味での)合理的な経済政策が採用されるとは限らない。ピグーは20世紀初頭のいわゆる関税改革論争(1903〜06年)に関わるなかで、初めてこの問題を明確に意識するに至ったと考えられる。さらにこの問題は、第一次大戦後の、国際通貨制度をめぐる論争(金本位制度か管理通貨制度か)を考える上でも重要な論点となる。こうした「大衆社会化」の問題は、いわゆる政治過程(政策立案過程)を大きく左右するものであるが、従来の研究でほとんど考慮されてこなかった。ピグーは、理論的には管理通貨制度の合理性を承認しているが、政策論的には(大衆社会のもとでの政治過程では)その合理的運営が失敗すると論じている。彼は政治過程の失敗を懸念したがゆえに、次善の策として金本位制度を支持したのであった。 以上の研究成果は、平成19年11月に出版された私の『ピグーの思想と経済学』(名古屋大学出版会)に部分的に収録されたが、全面的に論じ尽くされたわけではない。完全な形での研究成果は、平成20年度4月に予定(確定)される学会報告をへて、同年度内に論文として公表する予定である。
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Research Products
(2 results)