2007 Fiscal Year Annual Research Report
医療保険制度の改定に伴う受診行動・医療サービス供給行動に関する定量的分析
Project/Area Number |
19730154
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 真吾 Hokkaido University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (10326283)
|
Keywords | 医療保険制度 / 計量経済学 / 政策効果 |
Research Abstract |
本研究では,医療保険制度の変更によって自己負担の仕組みが変更され,自己負担額が変化するとき,患者側の受診行動にどのような変化が生じるのか,医療機関側の医療サービス供給行動にどのような変化が生じるのかという点に焦点を当てた実証分析を行うことを目的としている.同時に,制度変更に伴う政策効果の計測に関する統計分析手法についての研究も行っている. ゛Physician-patient Interaction and the Provision of Medical Services Under Different Copayment Schemes゛(共著)という論文では,2001年の定額負担から定率負担への変更期のデータを用いて受診行動・サービス供給行動の変化を見た.一般的に負担増があるとき,直接的に健康増進にかかわる医療サービスについては受診の変化の抑制量は小さいが,画像診断などの診療に補助的に用いられるサービスについては抑制量が大きいことが分かった.反対に自己負担額が従来のサービスしか受けないと減少する受診者層では診療に補助的に用いられるサービスについての増加が見られ,この種のサービスが一種の操作変数とされていることが確認された. また上記論文作成過程で研究した分析手法を用いて,入札制度導入によって競争促進を促すときの政策効果の計測についての論文『小売電力入札における応札意思決定と自由化の競争促進効果』(共著:RIETI Discussion Paper Series 08-J-004)を作成した.分析結果として,入札制度導入による競争促進効果によって,内生的な要因の影響を考慮したとしても,一定程度の統計的に有意な価格引下げ効果を計測することができた.
|