2008 Fiscal Year Annual Research Report
医療保険制度の改定に伴う受診行動・医療サービス供給行動に関する定量的分析
Project/Area Number |
19730154
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 真吾 Hokkaido University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (10326283)
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Keywords | 政策効果 / 計量経済学 |
Research Abstract |
本年度の研究では, 政策効果の計測に関する統計手法の研究と実際のデータへの適用を行った. 社会保障制度等についての民営化・市場化などを含む制度変更の効果を計測することが目的であり, 制度変更の効果計測を通じてその政策実施に関する定量的な評価を行うことができる. 具体的には昨年度作成した「小売電力入札における応札意思決定と自由化の競争促進効果」(共著) において用いた, 規制部門への規制緩和・自由化によってもたらされた新規参入の効果計測を行うためのスイッチング回帰モデルの統計分析を進展させた. 裾が広い価格データの分析への適用, 説明変数が与える説明変数への非線形的影響を考慮するため, 正規分布よりもt分布による尤度関数の構成を行い, ノンパラメトリックな説明変数の取り扱いを考慮したマルコフチェイン・モンテカルロ法を用いた分析法を考案した. またさまざまな特定化のモデルの比較検討を行うための周辺尤度関数の計算についても研究した. こうした分析上の拡張を行った結果, 昨年度実施した政策効果の計測の頑健性を確認することができた. 政策効果の計測は慎重を期する必要があり, 様々な可能性を考慮した上でより適切であり, かつ頑健な結果を導く必要があると考えられるが, 今年度の研究における分析を通じて確認することができた. 今回の分析の課題はノンパラメトリックな方法を用いるすべての研究に共通するものであるが, 観測点が少ない領域における推定には注意を行う必要があり, その意味でもパラメトリックな分析と, 一般性・柔軟性の高い今年度の分析手法を併用・比較検討し, 結果の妥当性・頑健性を確認することは重要である. これらの結果は大阪府立大学でのセミナー等で報告し, 現在, 論文としてまとめている.
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