2009 Fiscal Year Annual Research Report
サービス業における顧客行動と経営者の価格・立地戦略に関する統計解析
Project/Area Number |
19730158
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Research Institution | Research Institute of Economy, Trade and Industry |
Principal Investigator |
小西 葉子 Research Institute of Economy, Trade and Industry, 研究員 (70432060)
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Keywords | サービス業 / 生産性 / 美容院 / 財の質とバラエティ / 需要構造 / モデリング / 少子化 |
Research Abstract |
近年わが国では、非製造業がGDP全体の70%を占め、中でもサービス業はGDPシェアの20%を超え、製造業のシェアを上回り、わが国の経済を牽引する重要な産業となっている。しかしこれまでの経済理論が製造業を念頭においているため、製造業の生産関数を利用した非製造業の生産性計測が大多数である。サービス産業の生産性は、データ(特に資本ストック)が十分に存在しない、業種が多種多様なため既存のモデルの適用が妥当でない、という問題点がある。さらに、サービスは無形で、生産と消費が同時に同一の場所で行われる(同時性と不可分性)ため、生産行動(供給)と消費者行動(需要)を切り離せないという固有の性質を持つ。 これに鑑み、本研究は非製造業の中でも特にサービス業の生産技術の構造を調べるために、生産関数に代わる新たな関数を構築し、推定し、サービス産業の技術構造を明らかにすることを目的とする。本年度は、(1)セグメントデータを用いたサービス業の生産性の計測、(2)美容院業のマイクロデータを用いた需要・供給関数の構造モデリングの構築とその統計解析、(3)政策提言に関わる問題として、わが国のサービス業の発展によるインフラストラクチャーの整備と地域別の出生率についての研究を行った。本研究は常に、新たな生産性計測のための計量・統計モデルの開発を行っているという点で非常に意義がある。生産性計測は、生産性に需要要因が含まれてしまうという問題がある。入手可能なデータが金額べースであることから需要サイドの情報や需要ショック、景気ショックが生産性に含まれてしまうからである。その統計上の問題を解決し、純粋な技術進歩や資源節約的な生産性向上と、需要変動を識別するためのモデル開発を行い、既存手法との計測結果の違いを示してきた。これにより、より統計的に妥当な政策提言を行うことが可能となった。
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Research Products
(5 results)