2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国国有企業の経営目的関数と雇用調整関数の推定:状態空間モデルによる計量経済分析
Project/Area Number |
19730160
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
橋口 善浩 Kobe University, 国際協力研究科, 助教 (40432554)
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Keywords | 中国 / 国有企業改革 / 雇用調整速度 / 状態空間モデル / ベイズ推定 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 中国の国有企業改革が功奏さなかった原因を計量経済学の手法を用いて実証的に明らかにすることである. 具体的には, 同企業の経営目的関数と雇用調整関数を推定し, パラメータの変化から経営不振の原因を分析する. 平成20年度は, 雇用の調整速度に着目し, 国有企業の過剰労働力が減少しなかった原因を統計的に分析することを試みた。研究の方法および成果は以下のとおりである。 国有企業の雇用調整関数から, パラメータの時変性を考慮した統計モデル(状態空間モデル)を定式化し, 雇用調整速度パラメータの動向をベイズの方法で推定した。事後分布の導出にはマルコフ連鎖モンテカルロ法を使用した。さらに, de Jong and Penzer(1998)の方法を応用して, パラメータの変化に関する検定も行った。データは, 陳・橋口(2004)で作成された中国国有工業企業の長期時系列データ(1953〜2001年)を使用した。 推定および検定の結果, 第1に, 改革開放後の雇用調整係数の動きを見る限り, 1997年〜98年に雇用調整の迅速化が見られたものの, その他の時期についてはそうした迅速化は見られず, 1983年〜90年にかけてはむしろ調整速度の減速傾向が確認された。第2に, 雇用調整係数の変化に関する検定を行ったところ, 第1次5ヵ年計画期の1955年に有意な変化が見られたが, それ以外の時期に統計的有意な変化は確認されなかった。1978年以降, 数回にわたって実施された国有企業改革は, 雇用調整の迅速化に寄与しておらず, そのことが, 過剰労働が減少しなかった原因の1つと言えそうである。
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