2007 Fiscal Year Annual Research Report
企業間研究開発(R&D)の戦略的ネットワーク形成に関する実証研究
Project/Area Number |
19730165
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中嶋 亮 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (70431658)
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Keywords | 研究開発 / 戦略的ネットワーク / 情報技術産業 |
Research Abstract |
本研究は、ネットワークゲーム理論分析の成果をふまえ,R&Dネットワークにおける戦略的提携に注目し,企業の連鎖的な研究開発提携行動に関して実証分析を行うものである。本年度の研究では、NBERの特許引用データベースおよび米国特許商標局PatentsBIBデータベースから,特許記載の研究者を追跡し,共同研究者が存在する企業間で提携のリンクデータを構築した.その上で、S&P社のCOMPUSTATデータベースから得られる企業属性(R&D規模,株価等)をR&D提携のデータと連結することで企業提携に関するパネルデータセットを得た。そのデータセットをもとに,アメリカのIT産業を対象にして、前期のネットワーク構造を所与としたときに,今期に企業が新たにR&D提携を開始または解消する条件付き確率企業を決定する構造モデルを推定した。この推定方法はKossinets and Watts(2006)が大規模な社会ネットワークの構造の動態分析に援用した最新の方法であり,この方法をR&Dネットワーク構造の分析に適用した例はない。本年度の分析結果から、アメリカが週国のIT産業のR&Dネットワークは時間を通じて(1)拡大傾向にあり(2)短い鎖でつながる傾向にあり、(3)局所的に集積し(4)不均一になる傾向があきらかとなった。また、企業間でR&Dが形成される際の原動力として(1)Closure Preferenceおよび(2)Preferential Attachmentという選好がみられることが統計的に明らかになっている。これらの企業の選好は上記のITネットワーク成長を特徴づける要因であることが明らかになった。
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