2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730167
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
黒田 祥子 Hitotsubashi University, 経済研究所, 特任准教授 (50447588)
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Keywords | 労働供給 / 労働時間 / 余暇時間 / 賃金弾性値 / 賃金決定 |
Research Abstract |
本研究は、わが国の労働市場の動向、特に人々の就業行動(労働供給)や企業側の採用行動(労働需要)、さらにその結果として観察される価格(賃金)の変動に焦点をあて、時代や世代間を通じてそれらに変化が観察されるかを明らかにすることを目的としたものである。平成19年度は、日本人の労働供給行動とその時代を通じた変化に焦点をあてた研究を実施した。人々の労働供給行動に関する基礎研究は、少子高齢化が進み、近い将来労働力が不足するといわれているわが国においていかに必要な労働力を確保するかを考えるうえで重要なテーマである。 19年度前半では、景気や賃金の変動に応じて、人々がどのように反応し労働市場を入退出するのかを集計・個票データを用いて検証した。分析の結果、少子化・晩婚化の影響により、過去に日本人女性に顕著に観察された求職意欲喪失効果はマクロレベルでみて小さくなっている可能性を指摘した。19年度後半は、労働供給のなかでも特に労働時間に関する分析に取り掛かり、第一段階の研究成果がまとまりつつある。労働時間に関する本研究は、過去25年間における日本人の時間配分に関する時系列的な変化に着目したものであり、長時間労働問題やワークライフバランス政策への含意を導出するうえで基礎的な事実を提供するものである。この研究結果によれば、過去25年間において日本人の労働時間配分が属性別にみて変化を遂げており、労働時間・余暇時間について世代間・教育水準間に顕著なひらきが生じていることを示した。20年度はこれらの分析結果を発展させ、労働時間の変化の要因の特定化および政策含意の導出を目指す。
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