2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730167
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
黒田 祥子 Hitotsubashi University, 経済研究所, 特任准教授 (50447588)
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Keywords | 労働供給 / 労働時間 / 余暇時間 / 賃金弾性値 / 賃金決定 |
Research Abstract |
本研究は、わが国の労働市場の動向、特に人々の就業行動(労働供給)や企業側の採用行動(労働需要)、さらにその結果として観察される価格(賃金)の変動に焦点をあて、時代や世代間を通じてそれらに変化が観察されるかを明らかにすることを目的としたものである。平成20年度は、日本人の労働供給行動とその時代を通じた変化か焦点をあてた研究を実施した。具体的には、労働供給のなかでも特に人々の労働時間・時間配分に焦点をあて、「社会生活基本調査」(総務省)の個票データ(1976〜2006年)を用いて、過去30年間における日本人の労働時間・時間配分に関する長期的な推移を観察・分析した。分析成果によれば、人口構成比やライフスタイルの変化を調整した場合、(1) 1980年代の時短導入前と時短導入20年後の2006年を比較すると日本人の週当たり労働時間は統計的にみて有意に変化していないこと、しかしながら、(2) 週休二日制の普及により土曜日に休む人が増えたため平日5日間の労働時間が趨勢的に増加していること、(3) その結果、平日の睡眠時間が顕著に低下傾向にあること等を示した。本研究は、これまで統計的に把握が難しいとされてきた労働時間を厳密に測定することにより、長時間労働問題やワークライフバランス政策への含意を導出するうえでの判断材料となる基礎的・定量的な事実を提供したものである。最終年度に当たる21年度はこれまでの分析結果を発展させ、政策含意の導出を目指すとともに、労働時間を規定する諸制度(法定労働時間、時間外規制等)が労働時間に及ぼす影響についても検討する。
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