2007 Fiscal Year Annual Research Report
男性の家事・育児参加が女性の就労と出産・育児の両立に与える影響
Project/Area Number |
19730172
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
水落 正明 Mie University, 人文学部, 准教授 (50432034)
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Keywords | 女性の就労 / 男性の家事・育児 / 少子化 / 国際比較 |
Research Abstract |
本研究の目的は、女性の就労と出産・育児の両立可能性に対して、男性の家事・育児参加の促進がどのような影響を与えるかを実証的に検証することである。 欧米諸国に関する一連の研究をサーベイしたところ、1970年代前半までは女性の労働力率と出生率の間に有意な負の相関があったが、それ以降は相関が確認されないか、逆に正の相関に転じている国があることが報告されている。そうした要因として、労働市場の柔軟性や育児サービスの利用のしやすさなどが指摘されている。また、日本についての研究では、男性の家事・育児参加の少なさが少子化の要因であるとの指摘もある。 こうしたいくつかの指摘について、当初は日韓および欧米諸国のマクロデータを使って国際比較分析する予定であった。しかしながら、内閣府が平成17年に実施した「少子化に関する国際比較調査」の個票データを利用できる機会に恵まれたため、今年度はデータの整備と簡単なミクロデータ分析を行った。この調査の対象国は日本、韓国、アメリカ合衆国、フランス、スウェーデンの5カ国であり、本研究が分析対象としていた地域の主要国が網羅されている。 現時点では記述統計レベルの分析ではあるが、育児と仕事に関する女性の理想的な生き方についての意識や育児支援策として国に求めるものなどに欧米と日韓に差があることがわかっている。今後は、こうした差が実際の子ども数や追加子ども数、女性の就業にどのような影響を与えているのかについて多変量解析を行う予定である。
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