2008 Fiscal Year Annual Research Report
男性の家事・育児参加が女性の就労と出産・育児の両立に与える影響
Project/Area Number |
19730172
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
水落 正明 Mie University, 人文学部, 准教授 (50432034)
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Keywords | 男性の家事・育児 / 女性の就労 / 追加出生 / 国際比較 |
Research Abstract |
本研究では、女性の就労と出産・育児の両立可能性に対して、男性の家事・育児参加の促進がどのような影響を与えるかを実証的に検証した。内閣府が2005年にアメリカ、フランス、スウェーデン、日本、韓国で行った「少子化に関する国際調査」を用いて分析した。主な知見は以下の2点である。 1. 女性の就労と出産・育児のトレード・オフについて分析した結果、幼い子供の存在と女性の就業に有意な正の相関があったのは、スウェーデンとフランス、相関が確認されなかったのがアメリカと韓国、有意な負の相関があったのは日本という結果となった。すなわち、女性の就労と出産・育児の関係は各国間で異なること、日本では強いトレード・オフの関係があることが明らかになった。 2. 男性の育児参加が追加子ども数に与える影響を分析したところ、アメリカ、フランス、韓国では影響が確認されなかったが、スウェーデン、日本において、正で有意な影響が確認された。男女回答者別に推定を行ったところ、男性では、ほとんど有意な結果が得られなかったが、女性においては、男性が育児をより多くすることで追加出生数が増加することが明らかになった。また、女性の就労状態と男性の育児参加の交互作用を推定した結果、例えばスウェーデンにおいては、女性が自営や常勤職の場合には男性の育児の影響は有意とはならなかったが、パート・アルバイトの場合に男性の育児参加が正に影響することなどが明らかになった。 以上から、日本においては、女性の就労と出産・育児のトレード・オフが強く、さらなる公的な支援が必要であるといえる。また、男性が育児参加することによって、女性の追加出生数が高くなることから、ワーク・ライフ・バランスの推進も重要であることが明らかになった。
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