2008 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
19730176
|
|---|
| Research Institution | Osaka University |
|---|
Principal Investigator |
山本 和博 Osaka University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (10362633)
|
|---|
| Keywords | 人的資本 / 技術革新 / 国際貿易 |
|---|
| Research Abstract |
本年度は、多国籍企業間での企業合併のメカニズムの解明に関する論文を2本執筆した。企業間の水平的合併は、自動車産業、電気産業等で観察され、その規模が大きいことから日本経済に対する影響は非常に大きい。しかし、水平的合併が生じる環境、及びメカニズムに関しては、研究の蓄積は多くはない。本年度に行った研究では、合併が生じる産業構造の条件を導出し、企業の技術革新行動が、企業間の合併を誘発する事を理論的に指摘した。さらに、国際貿易が行われる際の貿易障壁が高い場合、さらに企業間の生産性の格差が大きい場合に企業間の合併が発生する事を指摘し、それらの条件を整理した。さらに合併が発生する際、その経済厚生への影響をまとめ、条件ごとに整理して、企業間合併が望ましい場合、望ましくない場合に分けて整理した。論文は、1本は完成後、英文査読誌に投稿されている。
さらに、本年度は、都市における市場規模、企業間の競争の程度が、人的資本蓄積に及ぼす影響に関する理論、及び実証的研究を行った。大都市は、企業にとって大きな市場であると共に、激烈な競争の場でもある。逆に小さな都市は、企業間の競争は激しくはないが、市場規模も小さい。本研究においては、この二つの力のバランスが、個人の人的資本蓄積行動に大きな影響を与え、都市規模によって個人の行動に違いが出る点を指摘し、さらに日本の都市圏データを使って理論が実証的にサポートできる事を示した。
|
