2007 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物行政における情報の役割と法ルールに関する理論・実証研究
Project/Area Number |
19730179
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
福山 博文 Kagoshima University, 法文学部, 准教授 (40409537)
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Keywords | 廃棄物(ごみ) / 処理責任ルール / 不法投棄 |
Research Abstract |
今年度は,以下2つのテーマについて研究を行った。まず,1点目は環境規制が環境汚染や労働需要にどのような影響を与えるかについて伝統的なハリス=トダロ・モデルに地域間の越境汚染を組み入れたモデルを用いて理論的な考察を行った。分析の結果,環境規制の強化は都市部の労働需要を低下させるものの農村部への越境汚染を減少させ農村部の労働需要を上昇させるため全体の失業率は低下する可能性があることを示した。そして,環境規制の強化は社会厚生も改善させる可能性があることを明らかにした。この研究の成果は,「11.研究発表」に示している。また,現在,廃棄物が都市部から農村部へ移動するようなモデルに拡張し廃棄物の処理責任ルールのあり方について検討を行っているところである。この研究は現在,進行中である。 次に,2点目は家計の不法投棄行動と企業の環境配慮型製品のデザインについてモデル分析を行っている。企業と家計のごみ問題を解決するための努力は,企業は家計の製品消費後のごみ発生量を減らすための環境デザインを行い,家計は製品消費後のごみの処分方法(ごみ収集の利用,ごみの再利用,ごみの削減,不法投棄)を決定するということである。製品の価格は製品の他の構成要素が同じであれば,その製品がどの程度環境に配慮しているかで決まると考えられ,企業側あるいは家計側へのごみ処理負担ルールが製品価格(ヘドニック価格)にどのような影響を及ぼすのかを考察している。また,不法投棄への罰則の強化が家計のごみ処分方法,製品価格,そして社会厚生にどのような影響を与えるのかについても検討している。この研究も現在,進行中である。
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