2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730186
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
篠崎 武久 Waseda University, 理工学術院, 講師 (10361635)
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Keywords | 賃金格差 / 所得格差 / 主観的意識 / 経済政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、i)2000年代半ばまでの統計資料を用いて所得格差や賃金格差の動向を再確認し、その要因を高齢化や高学歴化、地或や産業の視点から検証すること、ii)経済的格差に関する主観的な変数に着目し、格差拡大意識の背景を個票データの分析から明らかにすること、の2点である。平成19年度は3年計画の1年目であり、上記i)についていくつかの分析を実施した。 1990年代末に雇用環境が急激に悪化した頃から、日本では世帯の所得格差や個人の賃金格差などの経済的な格差に関心が集まり始め,それと並行して、所得格差や賃金格差などに関する経済学的な研究成果の蓄積が進んできた。ただ、巷間で格差拡大意識の高まりが生じた2000年代半ば頃のデータを用いた研究はまだ少なく、格差拡大意識の広まりが現実の所得格差や賃金格差の動向とリンクしていたか否かについてはよくわかっていない部分がある。そこで平成19年度は2000年代半ばのデータを用いて、この時期の所得格差や賃金格差の拡大について予備的な分析を実施した。 賃金格差の動向を検証する際に頻繁に用いられるのは『賃金構造基本統計調査』(賃構)のデータである。これを利用して賃金格差の動向を検証することが考えられる。ただ、『賃構』は2005年に調査方法に関していくつか変更があったため、この変更が(現実の賃金動向と無関係に)賃金分布を変化させる可能性を考慮し、どのような影響があったのかについてまず確認した。結果、2005年の調査変更は『賃構』のデータに少なからぬ影響を与えており、2004年以前の結果と2005年以降の結果をそのまま接続するのは困難である可能性が高いとの結果を得た。換言すれば、『賃構』を用いて計算すると2005年に急激な賃金格差の拡大が観察されるが、それは部分的には調査方法の変更によって生じたものであることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)