2007 Fiscal Year Annual Research Report
東・東南アジアにおける国際間移転費用の低下と域内相互依存関係の深化
Project/Area Number |
19730187
|
Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
藤井 孝宗 Aichi University, 経営学部, 准教授 (90317280)
|
Keywords | 移転費用 / サービス・リンク・コスト / フラグメンテーション / 東アジア / 国際生産ネットワーク |
Research Abstract |
本年度はプロジェクト1年目なので、主にデータセットの構築に時間を割いた。研究計画にあげたとおり、東・東南アジアの生産ネットワーク形成とフラグメンテーション理論における現実経済の検証・理解を図るためには、まずこの地域における生産ネットワーク、特に日系企業が担っているアジア域内分業ネットワークの実態を把握するため貿易フロー・日系多国籍企業の立地・拡散状況を表すデータセットを構築する必要がある。そのために、東洋経済新報社の「海外進出企業総覧」データセットを購入し、日系企業のアジア地区への詳細な進出状況のデータと貿易データを入手し、データベースの構築を行った。また並行して、フラグメンテーション理論が実際に効力を発揮するための鍵となる「サービス・リンク・コスト」と呼ばれるいわゆる移転費用に関する理解と分析を深めるため、サービスの国際フローに関する様々な阻害要因、言い換えればコストとなりうる要因について文献などを調べるとともに、実証分析のフレームワークに載せるために指標化・数4値化の工夫を行った。全体の目的であるフラグメンテーション理論の検証や東アジア地区での生産ネットワーク構築におけるサービス・リンク・コストの役割の実証という部分については今のところまだ第一段階の準備が整ったかどうか、という段階ではあるが、並行して行っていたサービスの国際フローの阻害要因の調査・計測については、特に交通・運輸コストに関して一定の成果を得たので、海外学会にて報告を行った。発表論文については学会にて受けたコメントをふまえた上で改訂し、論文として完成させたいと考えている。今年度行ったデータセットの構築とサービス・リンク・コストに関する調査・実証的検証は、本プロジェクトの最終目標である、「実証分析によるフラグメンテーション理論と現実の東・東南アジア地域での生産ネットワークの緊密化という現象との橋渡し」の基礎となる情報の把握、整理という面で次年度以降の研究に役立つであろう。
|