2008 Fiscal Year Annual Research Report
東・東南アジアにおける国際間移転費用の低下と域内相互依存関係の深化
Project/Area Number |
19730187
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
藤井 孝宗 Aichi University, 経営学部, 准教授 (90317280)
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Keywords | 東アジア / フラグメンテーション / 国際生産ネットワーク / 多国籍企業 / サービス・リンク・コスト / 実証研究 / 移転費用 / 国際輸送コスト |
Research Abstract |
本年度は3年プロジェクトの2年目にあたり、来年度での研究の完成に向けたデータ整備と研究テーマの補完的研究を行い、最終的な研究の完成のための基盤固めをめざした。研究成果としては、フラグメンテーションが進展するためのキーとなるサービス・リンク・コスト(移転費用)の重要性を確かめる一端として、人的フローを阻害する輸送コストの程度とその影響について2本の論文で分析し、国際学会で発表した。結果としては、予想どおり輸送コストの大きさが国際人的フローに大きなダメージを与えていることが確認できた。これは輸送コストがフラグメンテーションの深化を阻害する可能性を示唆している。また並行して、関連トピックに関する知見を固めるため、2つのトピックに対する研究を行った。ひとつは多国籍企業の意志決定メカニズムに関する調査、2つめはサービス貿易に関する障壁や政策改革に関する制度的調査である。前者については、多国籍企業の企業活動、特に外資の資本参加や輸出行動などの国際市場とのリンクがどのように行われ、それが企業のパフォーマンスや意志決定にどのように関わっているのかを知ることは、東アジアの生産ネットワークやフラグメンテーションの深化をもたらしている背景を知る一助になると期待した。後者については、サービス・リンク・コストは一種の移転費用でありその中身には多様なコストが含まれるものの、サービス貿易を阻害するような政策規制もその重要な一部を担っているはずである。とくにフラグメンテーションに関しては、各企業・拠点間の情報伝達や意思疎通が重要であり、そのための人の移動を阻害する運輸サービス規制や情報伝達のための電気通信サービス規制は大きな阻害要因となりかねない。そのため、日本も含め各国の制度や規制の実態を確かめておく必要があった。2種の補完的研究はおおむね期待どおりの結果を得ることが出来た。
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