2009 Fiscal Year Annual Research Report
東・東南アジアにおける国際間移転費用の低下と域内相互依存関係の深化
Project/Area Number |
19730187
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
藤井 孝宗 Takasaki City University of Economics, 経済学部, 准教授 (90317280)
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Keywords | 国際間移転費用 / フラグメンテーション / 国際航空サービス / 国境効果 / 東・東南アジア |
Research Abstract |
本プロジェクトの研究目的は東アジアの国際間移転費用の計測とその低下が域内の経済相互依存関係、およびフラグメンテーション理論によって説明される生産ネットワークの深化、拡大の確認であった。この目的にあわせ、本年は移転費用(フラグメンテーション理論でいうサービス・リンク・コスト)が当該地域で本当に低いのか、を定量的に確認することを目指した。後述の論文2本、学会発表3本は、この地域における輸送費用(純粋な輸送費のみならず、それに付随するサービスコスト、制度的コストなども含まれる)の定性的・定量的把握とその国際比較(及び時系列的比較)を行ったものである。ERSAにおいて発表した港湾サービスに関するもの以外は、国際航空サービスに関するコストを日本を中心に検証したものである。港湾サービスについては明確な結論を得るには共同研究者とのさらなる研究が必要だが、国際航空サービスについては、東アジア地域においては他地域(北米、ヨーロッパ)に関する先行研究と比較して明らかに輸送コストが小さい(国境効果が小さい)ことが確認できた。この結果は、日本を中心とした旅客の移動のみに限定はされるものの、東アジア地域における人の移動に関わる移転費用が他地域と比較して明確に低いことを意味する。この結果は、日系企業が東アジアに進出する際に、駐在員や子会社立ち上げ時の専門家の把握などに関するヒトの移動費用(広い意味での移転費用)が小さいことを示唆し、この地域の生産ネットワークの拡大、相互依存の深化に少なからず貢献している可能性がある。本研究のような移転費用を直接定量化する分析は、数値化の困難さなどもありこれまで世界的にもそれほど多くなく、この分野に関して限定的ではあるものの定量化を行い、東アジア地域における移転費用の小ささを確認できたことは意義深いと考えている。
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