2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730197
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
木下 信 Ryukoku University, 経済学部, 講師 (60396265)
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Keywords | 電力産業 / 規制改革 / 費用効率性 / フロンティア分析 |
Research Abstract |
今年度は電力産業の効率性について研究した。電力産業は地域独占であり非効率性と高い電力料金が指摘されてきた。そこで1995年以降段階的に規制改革が実施され、新規参入による競争を促進することで、これらの問題を解消しようとした。効率性には技術的効率性と配分上の効率性があるが、特に配分上の効率性が1995年の規制改革後どのように改善されたかを検証した。規制改革前は報酬率規制により資本への投資が過剰となるAverch and Johnson効果が指摘されてきた。AJ効果が解消されたかを見ることになる。以前技術的効率性の検証でトランスログ費用関数を用いたが、今回はDEAと確率フロンティアを用いた。確率フロンティアでは費用関数としてコブダグラス型とトランスログ型を採用した。推定には特にトランスログ型ではKumbhakar and Wang(2006)で提唱されたPrimal system approachを用いた。費用最小化の1階条件と生産関数を同時推計することで求められる。その結果、どの電力会社においても資本への過剰投入の改善が見られたことが分かった。今後の課題として、費用効率化をもたらす要因について考える。 費用効率性の研究と同時に規制改革後の電力価格の研究も行っている。現在はデータを作成している段階である。規制改革後の電力産業の資本形成に関する研究も行っている。配分効率性の検証で資本への過剰投資がどれだけ改善されたかを見ることはできる。ここでは設備投資行動に関心がある。理論ではリアルオプションがあるが、実証研究してみる必要はある。
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