2007 Fiscal Year Annual Research Report
低所得国における効率賃金仮説の検証:インドネシアの個票データに基づく分析
Project/Area Number |
19730204
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
中村 和敏 University of Nagasaki, 経済学部, 准教授 (40304084)
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Keywords | 経済事情 |
Research Abstract |
平成19年度の研究計画は,(1)既存研究(理論および実証)のサーベイ,(2)分析に用いる統計データの収集,(3)理論的フレームワークの構築,を主要な内容としていた。 このうち,既存研究のサーベイについては,4月から6月にかけて理論面を中心に,そして7月から8月にかけて実証面を中心に実施し,本研究で取り組むべき課題の把握をおこなった。 統計データの収集に関しては,2007年の9月に,インドネシアのジャカルタで現地調査を実施した。そして,インドネシア中央統計庁において,分析に必要となる個票データの利用許可を得るための交渉をおこなった。その結果,一定の条件のもとでの利用許可が下りたので,必要な手続きをおこなった。同時に,その個票データの収集プロセスなどについてのヒアリング調査を実施し,統計データの性格の把握を試みた。また,公刊されている統計資料の収集もおこなった。 理論的フレームワークの構築については,10月から11月にかけて取り組んだ。途上国では,食事供与という形での現物支給を伴う賃金形態が広く観察される。本研究では,その理由を理論的に考察し,この賃金形態が雇用者と労働者との間に発生する深刻な情報の非対称性を軽減させる役割を果たしていることを示し,そのことが効率賃金仮説の栄養モデルの理論構造と整合性を有していることを明らかにした。 以上の研究の成果については,2007年11月に沖縄国際大学で開催された国際開発学会で研究発表をおこない,そこで得られたコメントをもとにして,加筆修正したものを論文としてまとめ,2008年3月に学術雑誌に公刊した。
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Research Products
(2 results)