2009 Fiscal Year Annual Research Report
低所得国における効率賃金仮説の検証:インドネシアの個票データに基づく分析
Project/Area Number |
19730204
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
中村 和敏 University of Nagasaki, 経済学部, 准教授 (40304084)
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Keywords | 分位点回帰 / インドネシア / 効率賃金仮説 |
Research Abstract |
本研究では、平成21年度に下記のような内容で研究を実施した。第一は、2009年6月6日に日本大学湘南キャンパスで実施された国際開発学会第10回春季大会における研究発表である。報告タイトルは「途上国における賃金形態の経済分析」で、インドネシア労働統計のミクロデータを数量的に分析し、本研究がテーマとしている「現物賃金」の実態と果たしている役割を明らかにした。その結果によれば、インドネシアでは市場賃金の水準を上回る賃金、すなわち効率賃金が現物支給を伴う形で支払われていることが確認されており、本研究の理論的予測を裏付けるファクトファインディングを得ることができたと判断される。なお、学会発表の際には、「十分に解明されていない現物賃金の役割について明らかにしていくことの重要性」を支持するコメントを得ることができた。 第二は、分位点回帰(Quantile Regression)という日本ではあまり用いられていない計量経済学的手法によって、効率賃金仮説の栄養モデルの検証をおこなった。分析結果は、本研究が予測していた事実を確認するものとなっていた。同時に、所得階層が高いほど現物賃金のインパクトが大きくなっていることを示したが、これは一般的に用いられる最小二乗法(OLS)では明らかにできなかった点である。 本研究では、これまでにない分析モデルと新たな計量手法を導入することによって、この研究分野における新たな知見を得ることができたと考えられる。こうした研究成果を論文にまとめ、「分位点回帰による効率賃金仮説の検証」(2010年3月発行)として公刊した。
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Research Products
(2 results)