2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本における環境税(炭素税)導入のシミュレーション分析
Project/Area Number |
19730206
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Research Institution | Kanto Gakuen University |
Principal Investigator |
武田 史郎 Kanto Gakuen University, 経済学部, 准教授 (00364688)
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Keywords | 温暖化対策 / 応用一般均衡分析 / 二酸化炭素の排出規制 |
Research Abstract |
平成19年度には、日本におけるCO2排出規制を分析するためのCGEモデルの構築に取り組んだ。モデルの主な特徴は以下の通りである。(1)まず、風力発電、太陽光発電等の新エネルギー、CCS(炭素回収・貯留)をモデルに組み込んだ。新エネルギーもCCSも有望なCO2削減策として期待されているものであり、その動向によりCO2規制の費用が大きく変わってくる可能性がある。第二に、(2)部門間の生産構造の差を考慮するために、部門別に異なったタイプの生産関数を想定するように変更した。具体的には、発電部門、農業部門、化石燃料部門、その他の4つの部門のタイプを考慮し、それぞれに異なった生産関数を想定した。第三に、(3)同じ動学モデルであっても動学的最適化モデルよりも扱いが容易な逐次動学モデルに変更した。以上のようなCGEモデルを構築し、日本におけるCO2規制の分析に取り組んだ。まだモデルの様々な部分に改良の必要があり、現在のところ試算の段階でしかないが、次のような結果が得られている。まず、新エネルギー、CCSを考慮したモデルでは、考慮しないモデルと比較し、CO2削減の費用を大きく軽減できる可能性があるという結果が出た。これは新エネルギー、CCSを考慮しないモデルでCO2規制を分析した場合、費用を過大に見積ってしまう可能性があるということである。CO2規制の費用は規制導入の是非を左右する最も重要な要素であるが、本研究の分析はより正確な費用の評価に寄与するものである。ただし、費用の推定値はは新エネルギー、CCSの導入可能量、技術・費用水準等についての想定に非常に強く依存するという結果も出ているため、より詳細、かつ現実に沿った形で新エネルギー、CCSをモデルに組み込んでいく必要がある。
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