2007 Fiscal Year Annual Research Report
経済成長・不平等・貧困における因果関係及びその経路に関する研究
Project/Area Number |
19730208
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西山 朗 Keio University, 総合政策学部, 准教授 (60374154)
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Keywords | 経済成長 / 経済発展 / 貧困 / 幼児死亡率 / 学校教育 / 女性の社会的地位 / クロス・カウントリー分析 / パネル・データ |
Research Abstract |
3年間研究期間の1年目として、以下の2本の研究論文に取り組み完成させた。学会および他大学研究会において、合計7回の研究成果報告を行い、知の共有を通じた社会貢献を試みた。また、それら2本の研究論文を、欧米の査読つきジャ-ナルに出版することを予定している。 1) 単著、英語論文、"When Does Growth Save the Poor?"(欧米の査読つきジャ-ナルに投稿中。) 「経済成長が貧困問題を解消するのか」という問いに対して、研究者の間で大きく意見は分かれる。正しい答えは何であるのか。またなぜそのような意見の下一致が生まれるのかを解明することを目的として、実証分析を行った。最大83カ国の発展途上国のパネルデ-タを用いて。経済成長と貧困解消との間のマクロ経済関係を分析した。経済成長期には、経済成長が貧困問題を解消するかどうかは明らかではない一方で、経済停滞期には経済成長の欠如が貧困を著しく悪化させることが明らかとなった。そのため、経済成長と貧困解消に関する意見の不一致の原因は、経済成長と停滞期の非対称性に求められる。つまり、経済成長期にある地域を分析するか、経済停滞する地域を分析するによって、経済成長が貧困解消に及ぼす影響についての見識は異なる、と説明可能である。 2) 単著、英語論文、"The Paradox of Female Schooling in Development"( 欧米の査読つきジャ-ナルに投稿中。) 低所得国において、女性の学校教育の修得が貧困問題解決につながるであろうことは、広く認識されている。だが、それとは対照的に、実証分析においては、女性の学校教育が経済成長や貧困解消に影響を与えないという結果を示す文献が多い。このような「女性の学校教育のパラドックス(逆説)」に注目し、クロスカウントリー・パネルデ-タによる回帰分析をおこなった。女性の学校教育が幼児死亡率低下に与える影響は限定的であるが、女性の社会的地位の向上が貧困削減に大きく貢献することを示す推計結果を得た。
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Research Products
(8 results)
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[Remarks] 上記学会報告以外に、以下の6大学・機関において、研究発表を行った。
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[Remarks] (1)現代経済学研究会、平成19年11月22日、東北大学経済学研究科。
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[Remarks] (2)夏の合同研究会、平成19年8月4日、北海道大学経済学研究科。
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[Remarks] (3)マクロ経済学研究会(京都大学・大阪大学共同主催)、平成19年7月20日、大阪大学中之島センター。
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[Remarks] (4)RIETI International Workshop on "Economics of Foreign Aid"、平成19年7月2日、経済産業研究所。
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[Remarks] (5)金曜セミナー平成19年5月25日、大阪市立大学経済学研究科。
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[Remarks] (6)コンファレンス、平成19年4月19-20日、ADBI(アジア開発銀行研究所)。