2008 Fiscal Year Annual Research Report
労働市場の流動化に伴う持続的キャリア形成:キャリアステージと移行・経路・人的資本
Project/Area Number |
19730210
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
浦坂 純子 Doshisha University, 社会学部, 准教授 (70289338)
|
Keywords | キャリアステージ / 学校 / 企業 / NPO / 創業 / インターバル / 紹介予定派遣 / 第2新卒 |
Research Abstract |
本研究は、通常学卒後40年以上に及ぶ就業可能期間において、様々な移動を繰り返しながら労働者がキャリアを積み重ねていく過程を、5つのキャリアステージ(学校・企業・NPO・創業・インターバル)を拠点に実証分析することを目的としている。 平成19年度は、採用において優位性を持たない比較的小規模な民間企業5000社を対象に、紹介予定派遣、第2新卒者の採用意向及び活用に関する設問を中心とする調査票調査を実施した。さらに、調査対象に転職経験者を追加した結果、620社及び929名からの回答を得た。本年度は、その積み残しの課題であるデータ分析及び調査対象者への調査結果のフィードバックを手がけることから始めた。 上記調査は、財団法人全国勤労者福祉・共済振興協会(全労済協会)による2006年度公募委託調査研究と合同で実施したため、そちらの形式での報告書(公募研究シリーズ(7)『転職経路が機会の不平等性・所得格差に与える影響』2009年1月)が刊行され、同時に独自の報告書を作成してフィードバックに用いた。 調査から得られた主な知見としては、採用担当者の考えの中でも、転職者の間でも、転職経路間の棲み分けが相当程度進んでいることが挙げられる。そのことが、転職後に生じる所得をはじめとする様々な格差を考察する上で重要な要因となっており、適材適所を目指す上でどのような歪みや偏りをもたらしているのか、今後さらなる詳細な分析を展開することを課題として認識している。 その一方で、NPOに関しては、特に有償ボランティアの労働者性に関して労働法の分野から関心が寄せられ、現場の労働実態を紹介する機会に恵まれたことを付記しておきたい。また、これまでの研究成果を、若者向けに分かりやすく紹介する新書を出版する機会にも恵まれた。
|
Research Products
(4 results)