2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730213
|
Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
服部 徹 Central Research Institute of Electric Power Industry, 社会経済研究所, 主任研究員 (70371218)
|
Keywords | 電力市場 / 競争環境 / 電力自由化 / 効率化 / 電気事業 / コージェネレーション / エネルギー間競争 / 都市ガス事業 |
Research Abstract |
平成20年度は,電力市場の自由化と電気事業の効率性に関する実証研究を継続して行うとともに,エネルギー間競争や都市ガス事業の効率性に分析の範囲を広げ,電力小売市場における競争環境の評価やエネルギー間競争の存在について分析した。まず,部分自由化後の電力小売市場における競争状況に関しては,潜在的競争圧力が一般電気事業者に及ぼす影響に関する昨年度の予備的分析を踏まえ,新たに自由化対象需要家向けの小売価格データを利用して,一般電気事業者の市場支配力について分析した。その結果,自家発の存在を考慮した電力市場における一般電気事業者のシェアの大きさと市場支配力の行使には理論と整合的な関係があることを明らかにした。一方,電力価格が高ければ,一般電気事業者のシェアは小さくなるという関係が成立し,一定の競争が働いていることも確認した。また,自家発を設置する産業用大口需要家から比較的強い競争圧力が働いて,マークアップを抑制することなどを明らかにした。計量経済学的手法による詳細な分析によって,電力市場の競争評価や市場監視を継続していく上で有益な示唆を得ることができたと考えられる。また,産業用大口需要家の自家発電の価格弾力性に関する昨年度の分析に引き続き,ガス・コージェネレーションの普及と電力とガスのエネルギー間競争の関係を分析した。その結果,工業用や業務用のガス・コージェネレーションの普及要因の一つとして,電力とガスの代替の効果があり,エネルギー間競争が一定の役割を果たしていることを明らかにした。近年急速に普及している家庭用のガス・コージェネレーションについても同様の結果が得られた。わが国のガス・コージェネレーションの普及やエネルギー間競争については,実証研究がまだほとんどなされていないが,エネルギー産業全体での競争状況を把握する上で貴重な成果が得られたと考えられる。
|