2010 Fiscal Year Annual Research Report
地方自治体における,選挙を通じた住民監視の有効性の実証的検証
Project/Area Number |
19730214
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
西川 雅史 青山学院大学, 経済学部, 准教授 (90334143)
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Keywords | 地方財政 / 地方自治 / 地方選挙 |
Research Abstract |
本研究の具体的な到達目標は,福岡県下の市町村について,1970年から2004年の間に実施された地方議会選挙および地方首長選挙の結果を考察し,地方選挙と地方財政の関係を定量的に明らかにすることである.地方公共団体における選挙を通じた住民による監視機能は,それが十全ではないことは感覚的に理解されているものの,それがある程度は機能しているとの前提に立ってしまうことが多い.これは,定量的な情報が提示されていないことに原因がある.もし,地方選挙が地方財政の監視機能を果たしていないことが明らかになれば,少なくとも財政的権限を地方へ分与しようとする近年の傾向には,一定の抑止効果が発揮されることになる.より正しい事実を前提にして,私たちが政策を選定することが重要なのであり,このことに貢献する材料を提供するのが本研究の目的である. 昨年度に作成した論文(未定稿)では,地方財政と市町村議員選挙における現職議員の当落(住民による業績評価)との関係性について定量的な分析を行った(次年度には研究会での報告などが予定されている).海外の先行研究においても,市町村選挙と地方財政の関係性との研究は僅少であることから,地方自治の実態を把握するための貴重な情報の1つを提示することができたものと考えている.また,同様の分析を市町村長の選挙についても考察を始めており,その成果も近い将来に形をなすものと期待される. なお,本研究では,いくつかの副次的な成果(地方選挙と地方財政との関係を考察するために,先行していくつかの基盤的な考察をする必要があった)をあげており,それらは,昨年度までに海外の研究会で報告され,かつ一部は公刊されている.
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