2008 Fiscal Year Annual Research Report
値幅制限が株価形成に与える影響-超高頻度データを利用した実証分析-
Project/Area Number |
19730220
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森保 洋 Nagasaki University, 経済学部, 准教授 (10304924)
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Keywords | マーケットマイクロストラクチャー / 株式市場 / 値幅制限 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、我が国株式市場において株価の磁石効果が存在するかどうかの検証と、磁石効果を考慮に入れた株価変動のモデリングに取り組んだ。 具体的には、昨年度の研究によって、株式によってはその株価変動特性が構築したボラティリティ変動モデルで十分に説明できないものも見受けられ、株価の磁石効果の存在の有無を検証するためには、企業規模や取引高などの要因も加味した、より精密な株価変動モデルの構築が必要であることが明らかになったため、企業個別要因を加味した株価変動のモデリングに取り組んだ。さらに、昨年構築した高頻度観測データ・べースに、2008年のデータを加え、サンプル期間を拡大した分析も行った。 企業個別要因を考慮したモデリングについては、企業規模や取引高、売買回転率などを企業個別要因として採用して分析を行った。分析の結果、一部の企業については、これらの要因が有意に磁石効果に影響を与えていると考えられるものの、多くの企業については一般的な傾向を見出すことができなかった。 サンプル期間の拡大については、日本株式市場もサブプライム問題の影響を受けたため、前年までのデータに比べ、非常に多くの値幅制限に達するサンプルが存在した。とくに、9月から10月にかけての、いわゆるリーマン・ショックの時期には市場全体の株価が大きく変動したため、500を超える企業が同一取引日に値幅制限に達した場合も存在した。これは、値幅制限を分析する際には、個別要因のみならず、市場要因も考慮しなければならないことを示唆するものである。
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