2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本のM&A市場と企業統治の関係についての実証研究
Project/Area Number |
19730221
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
TSUNG-MING Yeh Akita International University, 国際教養学部, 助教 (20404858)
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Keywords | 企業合併 / コーポレートガバナンス / 取締役 / ストックオプション |
Research Abstract |
平成19年度の研究調査の部分について,M&Aが目本企業の業績及びガバナンス体制に与える影響について実証研究を行った。1991年から2003年の間,日本上場企業による国内合併ケース65件をサンプルとして,合併前後の会計業績(収益性や成長性)や,上位10位内株主のタイプと持株比率,取締役の持株比率,外部取締役比率,ストックオプション制度の有無,合併後における取締役会の被合併会社出身取締役の割合などのガバナンス変数を調べた。 まず,合併直前の当事者企業を一つのエンティティとみなしたものに比べ,合併後2年間は新会社は会計業績に緩やかな上昇が見られたが,統計的な有意性には達していない。これは先行研究で報告された業績悪化の結果と違いが見られる。M&Aの効果の改善は資本市場の変化やM&A関連制度の整備によるものと筆者は推測する。しかし,結論付けるためには引き続き研究する必要があると指摘したい。 一方,合併後の新会社のガバナンス変数において調べた結果,上位10株主の中で法人株主の所有がもっとも高い21%,次に銀行株主が11%の比率であった。取締役による持株比率が4.3%であり,潜在的に高いエージェーンシー問題を示唆する。また,外部取締役の人数は全体の7.5%にとどまっている。加えて,サンプルの15%の(合併後)会社はストックオプション制度を実施していることがわかった。最後に,合併前後の業績変化はこれらのガバナンス変数に関係するのか,回帰分析を行ったが,統計的に有意がみられなかった。ただし,この初歩的な結果は,合併の効果は"合併後"のガバナンスに相関関係を持たないことを示しているが,"合併前後"のガバナンス変化に関係するかについてはさらに分析する必要があるので,引き続き分析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)