2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730228
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 健嗣 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00408692)
|
Keywords | 経営財務 / ファイナンス |
Research Abstract |
平成22年度の目標は,学会発表および国際ジャーナルへの掲載にある。平成22年度は査読付き論文を2本(内国際査読付きジャーナル1本),査読無し論文が5本を掲載することができた。学会発表に関しては,1回発表することができた。 査読付きジャーナルに掲載された論文のうちJournal of Banking and Financeへ掲載された論文"Do the equity holding and soundness of bank underwriters affect issue costs of SEOs?"について説明を行う.本論文は,資金調達取引方式の一つである公募増資を行う場合の資金調達コスト(ディスカウント率,引受手数料),増資後の企業パフォーマンス,主幹事の選択問題に対し,主幹事である銀行系証券会社の特徴(借入,株式保有,健全性)が及ぼす影響について,Puri(1999)らの理論的な論文(保証効果仮説,利益相反効果仮説)をもとに分析を行いました.本論文の結果は,銀行系証券会社が主幹事となるとディスカウントを低下させるが,銀行の交渉力が高いほどより多くの手数料を要求するという保証効果を支持している(Puri(1999)と整合的).その一方で,銀行の不良債権問題が深刻な状況下においては利益相反効果を支持する結果が得られた(Puri(1999)の議論に追加的な考え方).銀行業と証券業の統合は,リーマンショック以降米国を中心に世界的な流れとなっており,これらの結果は実務者や政府関係者に対しいくつかのインプリケーションをもっている.銀行の証券業への参入については,分けるべきであるという銀証分離の議論がある.公募増資時における銀証分離の議論に対して,銀行が健全な場合には公募増資時に投資家・発行者・銀行に対し有益な影響を及ぼすため銀行の証券業務を推奨するべきであるが,銀行が健全ではない場合には投資家や発行企業の利益を犠牲にし銀行の利益を優先させる可能性が高いため,健全性が低い状況にある銀行に対しては関連証券の証券業務を規制する必要性も考慮するべきといえるであろう.
|
Research Products
(7 results)