2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730234
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
亀田 啓悟 Kwansei Gakuin University, 総合政策学部, 准教授 (80286608)
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Keywords | 非ケインズ効果 / 財政再建 / 財政赤字 / 政府債務 / 90年代の影気対策 / 財政政策の有効性 / 長期金利 / 歳入歳出一体改革 |
Research Abstract |
国内ではまだ実施されていないHjelm(2002)の方法によりわが国における非ケインズ効果の有無を分析した。その結果、(1)わが国でも財政再建時に財政支出に関する非ケインズ効果が発生している、(2)構造的基礎的財政収支対GDP比の対前年度変化が1%以上、あるいは前年からの累積変化が1.5%以上改善した年度での同比の対前年度1%の改善は、民間消費を約1%増加させる、(3)非ケインズ効果の発生は財政再建の構成や為替レート変化、公的債務残高とは無関係であり、その規模のみが重要である、(4)財政拡大期には非ケインズ効果の存在は検出できない、等を確認した。そして、この結果をWPとしてまとめるとともに『日本経済研究』に投稿した(査読中)。 また、国内の先行研究からわが国における非ケインズ効果の発生可能性も検討した。その結果、(1)財政再建の規模が十分大きければ非ケインズ効果の発生により景気悪化を回避できる可能性がある、(2)財政拡大の規模が大きいと、非ケインズ効果が発生しケインズ政策の有効性が低下する可能性がある、(3)財政が悪化した下での財政拡大が非ケインズ効果を発生させるとの見解に対しては、ほとんどの先行研究が否定的である、の3点が明らかになった。なお、この結果は内閣府の「バブルの発生・崩壊からデフレ克服までの日本経済とマクロ経済政策に関する研究」に採用され、3月に研究報告を行った(出版予定)。 ところで、非ケインズ効果の研究は近年、長期金利との関係も注目され始めている。そこで、財政赤字・公的債務と長期金利の関係に関するサーベイ・実証分析も開始し、サーベイ結果を『総合政策研究』(関西学院大学総合政策学部研究会)に上奏するとともに、実証分析結果をWPとしてまとめ日本財政学会で報告した。なお、この後者を加筆修正したものは来年度のIIPF大会へ投稿中である。
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Research Products
(7 results)