2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730237
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
韓 載香 Tokyo Metropolitan University, 社会科学研究科, 助教 (60396827)
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Keywords | マイノリティ / 在日韓国朝鮮人 / 情報 / ネットワーク / 企業家 / 信用組合 |
Research Abstract |
本研究の目的は,日本における最大の民族マイノリティ集団である在日韓国朝鮮人(以下,在日と略称する)に注目し,それらが所有する企業(在日企業と称する)と,その在日企業が集中する産業(在日産業と称する)の歴史的変化を明らかにすること,第2に,諸外国における民族マイノリティの経済活動と比較し,特異性と共通性を明らかにするとことである。 平成19年度に発表した論文3本は,上記の課題のなかで次のように位置づけられる。(1)「パチンコ産業と在日韓国の朝鮮人企業」(『社会経済史学』第73巻4号,2007年)は,在日の代表的な産業に成長したパチンコ産業を取り上げ,同産業への関わりが歴史的に重要になってきたこと,それを可能にした1つの条件が在日社会のなかに関連情報が蓄積されたことを明らかにした。そうした産業発展のもう1つの基盤として,在日が設立した金融機関が果たした機能に注目することができる。まず,(2)「民族金融機関の全国展開」(東京大学ものづくり経営研究センターデイスカッションペーパー175,2007年)では,全国的に展開した民族系金融機関の設立過程を明らかにした。従来は主に南北対立という政治的背景から説明されてきたが,それに経済的要因を付け加えて解明した。こうした背景は,アメリカの黒人・中国人・日本人の民族(人種)集団が設立した金融機関など国際的に比較すると,在日の特徴であった。設立した金融機関が在日の経済活動においてどのような機能を果たしかについては,(3)「「在日企業」と民族系金融機関:パチンコホール事業を事例に」(『イノベーション・マネジメント』)No.5,2008年)で考察した。(1)と(3)で検討した産業関連の情報と金融機関の資金供与は,在日の経済活動において,とりわけ起業段階で大きな役割を果たした。企業成長の初期段階におけるコミュニテイの機能が,在日の経済活動の特徴として,ビジネスチャンスのある産業に集中するというダイナミズムを生み出した。
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Research Products
(5 results)