2009 Fiscal Year Annual Research Report
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19730240
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Research Institution | Tokyo University of Science, Suwa |
Principal Investigator |
平尾 毅 Tokyo University of Science, Suwa, 経営情報学部, 講師 (50361861)
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Keywords | パターナリズム / 労使関係 / 労務管理 / 近代化 / 労働市場 / ネットワーク / 半導体レーザー / イギリス:日本 |
Research Abstract |
本研究は、組織志向的な日本と市場志向的なイギリス(アングロサクソン)という二項対立を解くことを目的に、エンジニアの流動性とネットワークに注目して、アメリカ、日本、イギリス、ドイツにおける半導体レーザーにおける科学的ブレークスルー現出の過程を考察した。その結果、エンジニアの労働市場における流動性の国際比較を見る限りでは、従来の二項対立を解くには至らなかった。 また、英国産業においてpaternalist firmとして有名なキャドベリー社の事例研究を行った。その結果、キャドベリー社におけるパターナリズムは株式会社化に伴う労働者の不安を解消し、新たな経営権限の下で安定した労使関係を構築するために、パートナーシップ時代の労使関係に言及しつつ創られた概念であったことが明らかになった。すなわち、パターナリズムという概念は失われ行く伝統でなく、むしろ近代化の過程において過去への言説を伴いながら創られた伝統であったことを明らかにした。しかしそのことが、その後のキャドベリー社における人間的要素に基づく労務管理の発展と労働の内部化に寄与した。また、キャドベリー社の事例は、当時のイギリス労働市場から見ても、例外的な事例であったと言える。
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