2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730249
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
李 東浩 Wakayama University, 経済学部, 准教授 (40403224)
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Keywords | 企業統治 / 日本 / 中国 / 牽制 |
Research Abstract |
不祥事の予防による経営の健全性の確保と競争力の回復による経営の効率性の向上という企業統治の主な2つの機能を発揮するため、日中では積極的に企業統治の改革が行われている。 企業統治機関の枠組みの見直しや法的制度の整備など、大きな変化が見られている。このうち、両国の経営者と上層部管理者の報酬に対する改革は顕著である。両国ともアメリカ型の成果に応じるような評価・報酬システムを導入しつつある。 ここ数年、日中の企業においては業績連動型などの成果主義報酬システムが導入しつつあり、両国とも営業者の報酬水準が向上してきた。日本企業の場合、経営者報酬の水準が「対企業純利益比」「対従業員収入比」「対社会平均収入比」のいずれもの数値が認められる範囲に収まる一方、中国企業の場合、非常識にまで高くなるケースも出ていた。これは単に一企業の報酬システムの歪みではなく、社会公平、延いてはどのような市場経済と資本主義を進むかという課題になる。日米中における典型企業の経営者報酬データを用いて、規範分析も行った。 分析から分かるように、より公平である日独型のシステムを選ぶか、それとも一方的に効率優先のアングロサクソン型システムを撰ぶことが、日中経営者報酬システム改革の分岐点である。アングロサクソンの基準であれば、絶対値から言うとまた報酬の増加余地がある。しかし、日独型の基準から言うと、すでに行き過ぎだと考えられる。中国の経営者報酬改革課題について、一体どの方向へ進むか、継続研究が必要である。
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Research Products
(1 results)