2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国における制度の地域差が日系子会社経営に与える影響
Project/Area Number |
19730259
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
安藤 直紀 University of Nagasaki, 経済学部, 准教授 (50448817)
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Keywords | 経営学 / 制度理論 / 地域差 / 日系子会社 / 中国 |
Research Abstract |
本研究は,移行経済における公式的及び非公式的制度の地域差が,取引費用の上昇を通じて,外国企業のパフォーマンスにどのような影響を与えうるのかを理論的,実証的に分析することを目的として始められた。まず徹底的な先行研究のレビューを行うことで,「巨大な移行経済においては制度の地域差が存在しうる」,「制度の地域差は,地域ごとに異なったベスト・プラクティスを外国企業に要求する」,「制度の地域差は外国企業のパフォーマンスに影響を与える」という命題を導出した。ついで,導出された命題を検証するために,中国現地において日本企業の中国子会社を対象にインタビュー調査を行った,インタビューは,東北地区4社,北京地区4社,長江デルタ16社,珠江テルタ5社の合計29社に対して行った。インタビュー調査の結果,いくつかの成果が得られた。まず,中国のような巨大な移行経済においては,歴史的・地理的・政治的・文化的な要因から,公式的及び非公式的制度に地域差が存在することが確かめられた。このため,現地子会社は地域ごとに柔軟な対応をしていく必要があることが分かった。また,制度が外国企業のパフォーマンスに与える影響についても,いくつかの重要な発見があった。たとえば,地方政府の外国企業に対するサポート,官僚や取引企業との人的関係,現地パートナーの活用などは外国企業のパフォーマンスに正の影響を与えうる。一方で,リーガル・フレームワーク,官僚の自由裁量などはパフォーマンスに負の影響を与えうることが分かった。これ以外にも移行経済における外国企業のパフォーマンスに影響を与えうる要因が見出された。次年度の課題は,インタビュー調査を通して発見された事項を質問票調査によって検証していくことである。
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Research Products
(1 results)