2007 Fiscal Year Annual Research Report
技術の不確実性と企業間イノベーション:自動車メーカーと部品メーカーの知識分業
Project/Area Number |
19730261
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
朱 穎 Atomi University, マネジメント学部, 准教授 (50334610)
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Keywords | 自動車産業 / 企業の境界 / 知識分業 / イノベーション |
Research Abstract |
平成19年度は、技術変化と企業の境界線(企業間関係)との関係について、理論研究と事例研究を行ってきた。特に、新規性の高い技術開発が必要とされる場合、企業間分業のあり方について、自動車メーカーと部品メーカーの双方から考察を行った。具体的には、新規性の高い技術開発として、三元触媒の開発事例を取り上げ、自動車メーカーと部品メーカー(電装メーカー)に対するインタビュー調査と、特許データの収集を行った。 技術の不確実性が企業間関係に与える影響について、アーキテクチャー重視の技術体系を持つ産業において、一つの事例にしかすぎないが、内製スタッフと内製R&Dの重要性が事例研究から示されている。従来、企業間ネットワークにおける知識分業の重要性について、完成品メーカー(例えば自動車メーカー)に注目する研究は多いが、本研究ではサプライヤー企業の組織能力も一つの重要なファクターとして考慮する必要があると考察した。結局、技術の不確実性に直面する場合、企業間関係がどのように変化していくのかは、システム・インテグレータがどのように認識しているのかに関わっている。この意味において、ビジネス・アーキテクチャーとイノベーションをめぐって企業の境界線がいかに変化し、その背後にあるメカニズムは何かについて、よりダイナミックな分析が必要であると示されている。一方では、異なる知識体系を持ち合わせることは簡単ではなく、それを可能にする仕組みとして、技術者の認識枠組みまで踏み込んで分析フレームと実証研究を行う必要がある、との課題は残されている。
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