2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730262
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
青木 英孝 Chiba University of Commerce, 商経学部, 准教授 (90318759)
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 経営戦略 / 選択と集中 / 事業集約化 |
Research Abstract |
昨年度の研究計画における重要な目標の一つは、「ガバナンス構造が経営戦略の策定に与える影響」に関する分析を進め、学会等で報告することであった。この研究テーマの成果に関しては、昨年7月に中国・上海で開催されたThe International Federation of Scholarly Associations of Management(IFSAM)の9th World Congress 2008で報告を行う機会を得た。報告のタイトルは、「The Decreasei Diversification and Corporate Governance : Evidence from Japanese Firms」である。 この分析では、東京証券取引所一部上場企業(金融部門を除く)をサンプルとして、1990年代後半における日本企業の「事業集約化」の発生要因を検討している。具体的には、「事業集約化」を、総務省の「日本標準産業分類」の2桁分類に基づいて集計された企業の事業部門数が前年度末に比べて減少したケースとして特定し、この発生確率をロジット・モデルを用いて推計した。事業集約化に注目した理由は、先行研究の成果から事業の多角化が経営の非効率を引き起こすと考えられること、そして実際に「選択と集中」を旗印に事業のリストラクチャリングが進められたと見られることである。分析の結果、1990年代後半に事業ポートフォリオの再編が活発化したこと、その際の「選択と集中」は、高業績の企業を中心に進められたことが示された。また、ガバナンス構造の影響としては、資本市場の圧力や負債の規律づけが、事業集約化を促進する可能性が示唆された。 なお、研究計画として示した分析用データセットの継続的構築に関しても、企業の財務データやガバナンス関連データの整備が順調に進んだ。
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