2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730262
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
青木 英孝 Chiba University of Commerce, 商経学部, 准教授 (90318759)
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 経営戦略 / 事業ポートフォリオ / 選択と集中 |
Research Abstract |
昨年度の研究計画における重要な目標の一つは、本研究における検討課題の一つである「ガバナンス構造が経営戦略の策定に与える影響」に関する研究の成果を論文にまとめることであった。この点に関しては、1990年代における日本企業の事業ポートフォリオの再編に関して、特に事業の集約化がどのような要因によって発生していたのかを分析した結果を、2008年の学会報告(The International Federation of Scholarly Associations of Management(IFSAM),9th World Congress)で得たコメントを参考にしつつ論文"The Decrease in Diversification and Corporate Governance:Evidence from Japanese Firms"にまとめ、ジャーナルCorporate Ownership and Control,Vol.6,Issue4(2009,Summer号;査読付き)に投稿して、掲載の機会を得た。この分析の結果、「選択と集中」は、業績が低迷している企業がやむを得ず不採算事業から撤退するというよりはむしろ、業績が好調な企業による積極的な事業ポートフォリオ再編という側面をもっていたことが明らかにされた。また、資本市場の圧力や負債の規律づけといった企業のガバナンス要因が、事業集約化を促進する影響を与えていたことが示された。 なお、他の分析テーマである経営者交代と経営戦略との関係分析などに使用するデータベースの構築も概ね順調に進んでおり、今年度の分析の準備が整いつつある状況である。なお、企業の経営戦略を捉える重要な側面としては、事業多角化とともに国際化の進展を把握することも重要であり、必要なデータの収集も行っている。
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