2008 Fiscal Year Annual Research Report
日系多国籍企業の国際戦略と組織変革に関する研究~海外現地法人の記録資料を用いて~
Project/Area Number |
19730266
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天野 倫文 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 准教授 (40339205)
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Keywords | グローバル戦略 / 海外現地法人 / 組織能力構築 / 組織変革 / オーラルヒストリー / 海外現地法人資料 |
Research Abstract |
昨年度の記録資料等に関する研究成果をふまえ、当該年度は製造業の多国籍企業の海外事業展開や組織能力の構築について、調査した記録資料をベースに、さらに質的な情報を付加すべくヒアリングや現地調査などを行っている。パナソニック(松下電器産業)とトヨタ自動車についてはタイの製造現地法人を訪問し、そこで製造・販売の関係者に対する集中的なヒアリングを実施した。タイトヨタの場合には、昨年度から続けてきた関係者へのオーラルヒストリーがほぼ完成し、この資料化を行うことができた。こうした記録資料やオーラルヒストリー、それらをふまえた現地調査により、スポット的な調査では見えてこない研究上の観点が発見されつつある。これ以外に、今年度は調査対象企業の幅を少し広げ(電子デバイス、電子組立機器、化学メーカーで調査に協力してくれる企業があり、これらの企業との関係の強化と情報収集、ケース化を順次図っている)、中東欧・ロシア・中国・東南アジアなどの地域でフィールドリサーチを展開している。これらにより、パナソニックやトヨタ自動車を中心に進めてきたリサーチを、産業・業界特性を加味した相対化や一般化することが可能になっている。また業種の差異をこえて海外現地法人において組織能力を構築し、それらをベースにグローバル戦略全体を変革していく際の経営戦略上のキーポイントが見えてきたので、現在はそれらを中心にディスカッションペーパーや論文を作成している。来年度の研究期間においてはそれらの成果を公表化していきたい。
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