2009 Fiscal Year Annual Research Report
特許制度が日米欧企業の特許取得行動と利用行動に与える効果に関する研究
Project/Area Number |
19730270
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
西村 陽一郎 Kanagawa University, 経済学部, 准教授 (10409914)
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Keywords | 未利用特許 / ブロッキング特許 / 特許戦略 / 特許取得行動 / 特許利用行動 |
Research Abstract |
21年度の主たる研究実施目標は次の3点からなる。(1)実態調査:公開データを用いて特許の実態を把握するのは非常に困難であるため、質問票調査『未利用特許実態調査』を継続して行う。(2)ヒアリング調査:質問票調査『未利用特許実態調査』だけでは十分な実態を把握することが困難であることが予想できたため、質問票調査を補完する形で数社を訪問し、ヒアリングを行う。(3)計量分析:20年度において構築したデータベースを利用して、実際に計量分析を行い、その結果と既存研究との整合性を検討する。 これら研究実施目標に対し、21年度を通じ次のような具体的な成果があった。 (1)質問票調査を実施し、約90社の回答を得ることができ、その回答結果を分析フレームワーク構築に反映させた。 (2)ヒアリング調査を8社実施し、質問票調査の結果とあわせて、以下のような実態が明らかとなった。今までの公式統計では調査時点における特許の利用実態のみを調査しているだけで、調査時点前後にどのような利用状況にあったのかを全く把握していないということである。たとえば、製薬産業や化学繊維産業などでは、数十年単位で連続して1~2回特許を利用するのが一般的であるが、建設業では、短期間で複数回利用するのが一般的である。したがって、現在までの研究のように、ある1時点で調査した結果にもとついて利用率の水準を議論しても全体的な傾向をつかめる点で非常に有用であるが、企業の特許利用行動を解明する際には、厳密性を欠く分析になってしまうと思われる。 (3)特許の取得行動や利用行動が企業の収益性や持続的競争優位性にどの程度影響しているかどうかを企業ノウハウとの対比で分析すると、既存研究とある程度整合的な結果が得られた。
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