2008 Fiscal Year Annual Research Report
回答形式に着目した選好意識調査設計に関する基礎分析〜交通行動分析を対象として〜
Project/Area Number |
19730282
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三古 展弘 Kobe University, 経営学研究科, 准教授 (00403220)
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Keywords | 選好意識調査 / 消費者行動 / 交通行動 / 離散選択モデル |
Research Abstract |
選好意識調査データは交通行動分析において積極的に利用されており, その調査設計に関する議論も盛んである. 今日, 交通分野での選好意識調査の回答形式の主流は, 被験者に複数の仮想の代替案から最も望ましいものを選択させるという選択形式である. しかし, 筆者らは, 仮想評価法の手法を援用し, 1段階目の選択形式の回答に応じて異なる2段階目の選択形式を提示するダブルバウンド形式や1.5バウンド形式の質問を用いることでモデルの推定精度が向上することを実証した. 本年度は, 推定精度の高さからその発展可能性が高いダブルバウンド形式に着目し, その調査設計について, 人工データを用いたシミュレーション分析により, パラメータ推定効率性の観点から検討を行った. ダブルバウンド形式の2段階目の質問は, 選択肢AとBの2肢選択において1段階目で選択肢Aが選ばれた場合を例にとると, 選択肢Aが「1段階目より選ばれにくくなるような状況」を設定して選好をたずねることにより行われる. 本年度は, 2段階目における「1段階目より選ばれにくくなるような状況」を, 1段階目の選択における選択肢AまたはBのサービスレベルを基準にどの程度変化させて設定したときにパラメータの推定効率性が高くなるかについて分析した. 分析の結果, 2段階目のサービスレベルを, 1段階目を基準にして大きく(つまり, 1段階目で選ばれていた選択肢がより選ばれにくくなるように)変化させて設定するにつれて, ある程度まではパラメータの推定効率性は高くなるが, ある程度を過ぎると逆に推定効率性は低くなるという傾向が見られた. このことは, サービスレベルを大きく変化させるにつれて, 2つの段階において選択結果が反転し得られる情報が増加するという正の側面と, 既に小さいサービスレベルの変化で選択結果が反転している場合には逆に得られる情報が減少するという負の側面から説明される可能性を示唆した.
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